スウィートエッジ

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「あー……終わったんだぁ」 一人になって、ついさっきのやり取りを思い出してみて、言葉にしてみて。 ようやく目頭が熱を帯びてきた。 倒れる身体がガンっと鈍い音を鳴らして止まる。 ズキズキとする頭を、今度はわざと壁にぶつけてみる。 それでも、胃だか胸だか心臓だか分からないけど。 何かが蠢くみたいな違和感は消せなかった。 ぼんやりずきずきする頭で、スマホを鞄から引き摺り出す。 LINEから彼女の名前を消して、電話帳からも消して。 それから、後はなんだろう。 形のあるモノは何も貰わなかった、お揃いだったピアスも見知らぬ人の所に置いてきた。 思い出は、消せないよね。 今更になって、冷めて飽きられる前の。二人で笑ってた頃の事を思い出して。 そんな甘く幸せな記憶が、丁度左胸の辺りに突き刺さるみたいに。 私の痛い場所をハッキリと思い知らせてくれた。
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