いつの間にか

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「どうして…」 薄暗い部屋の中に、僕は独りぼっち。 子どもたちの明るい声が、窓の外を通り過ぎる。 耳に届いた声は、とても弾んでいて、笑っていた。 楽しそう。僕と違って楽しそう。 どうして僕は独りぼっちなの? どうして僕はこんなところにいるの? どうしてーー 「どうして僕ばっかりこんな目に遭わなきゃいけないの?」 なんで、どうして僕なの? なんで、僕ばかり苦しまなきゃいけないの? こんなのが嫌で、助けて欲しくて、気づいて欲しくて。 何度も部屋の扉を叩いた。 何度も部屋の中から叫んだ。 それでも、誰も気づいてくれない。 だから僕は、叫ぶことを止めた。 だから僕は、叩くことを止めた。 希望を持つことを止めた。 どうせ、僕なんてーー 『誰かいるの?』
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