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「……成る程」
赤髪の男の子が納得した様に頷いた。
「あ、理解できたんだ?」
「うん。大体はね」
「そりゃ凄い」
「要は……帰れないんだ」
「……うん」
二人の会話においてけ堀だった男の子達が一拍置いて追いつく。
「……えぇ!?」
「信じてなかったけど……どうするの?」
反応は様々。
歌純は流石に困った。
「どうしようか……アテも何もないんだけど。まあ、逆にアテがあったら怖いわ」
(だってここ私にとって異世界だもん)
「とりあえず……家くる?」
名乗り出たのは赤髪の男の子。
「俺達の家はいわゆる孤児院だから、一人増えたって問題ないよ」
「そうなの?」
「ああ」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
「俺は基山ヒロト。よろしく」
「あ、三郷(みさと)歌純。……よろしく?」
すると円堂が叫んだ。
「な、なんだよ」
「俺達、名乗ってない!」
(なんだそんな事……)
「俺、円堂守!サッカー部のキャプテンで、ゴールキーパーだ!よろしくな!」
円堂は一息にそう言うと、右手を差し出した。
歌純は首を捻る。
「……何?」
「何って……よろしくの握手だ!」
合点がいった歌純はふわりと微笑んで、円堂の手を握った。
その反応に満足したのか、円堂は「よし!」と言ってはにかんだ。
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