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引き込まれる腕を何とか戻そうと、反対の腕を上げると、そちらも直ぐに引き付けられて、画面に張り付いたと思えば溶ける。
(わっ、わっ、わっ……どうしようっ!?)
両肩が引き込まれ、否応なしに顔に画面が迫る。
思わずぎゅっと目をつむると、シャボン玉の膜を通った様な感覚がした。
不意に浮遊感を感じて目を開けると、歌純は何故か空にいた。
(えっ……)
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
高い高い、ヘリコプター等文明の利器を使わないと来れない様な場所にいて、当然の様に急降下していた。
「ここ何処ぉおぉぉぉ!?」
(……ていうか、私、死ぬんじゃね?ここが何処だろうとこのまま地面とコンニチハでアウトじゃね?)
「ぎいぃぃやぁぁあぁあぁ!!」
(なんかわかんないけど……死ぬのはゴメン!嫌だ!!)
「誰か助けてぇぇえぇえぇ」
叫んでいる内にどんどん景色が近くなる。
(あ、駄目だ……終わった人生……)
諦めてきつく目を閉じると、男の子の声が聞こえた。
「ゴッドハンド!」
すると、何故か少しの衝撃だけで済んで、少なくとも地面と挨拶した訳ではないと悟った。
「助かった……?」
誰かに抱き留められた感覚に、恐る恐る目を開けると、青い髪で片目を覆っているポニーテールの人の顔が歌純を覗き込んでいた。
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