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「わっ悪い、つい癖で……」
「次言ったら潰すって警告したよね?」
「つか痛い!おま……三郷、握力いくつだよ!」
「確か32kgくらい……かな?」
首をこてんと倒してそう答えると、男の子達全員火がついた様に赤くなった。
歌純は自覚していないが、歌純の容姿は俗に言う美少女で、この世界でもそれは変わらないらしかった。
顔をぱたぱた扇ぎながら風丸が言う。
「その手そろそろ離してやってくれ」
「あ、はい」
ぱっと手を離すと、ひーひー言ってバンダナ少年は手首を振った。
「円堂……大丈夫か?」
「ああ」
バンダナ少年は円堂というらしい。
とんとんと肩を叩かれて振り返ると、白い髪の優男風の男の子が立っていた。
「力強いんだね」
「……そうでもないと思うけど」
「どうして?」
歌純は困った様に肩を竦める。
「男の子に本気で来られたら敵わないもん」
白い髪の男の子は、目を見張ってから「そっか」と呟いた。
歌純は小学生の頃、その容姿故に女の子達にひがまれ蔑まれ、暴行を受けた。
持って生まれた運動神経を駆使して返り討ちにした所、女の子は話をすり替えて男の子に助けを求め、集団の男の子に敵う筈もなく歌純は一方的にいじめられた。
(思い出しちゃったな……)
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