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かくして校舎へと向かった一行。
パソコン室とやらに着くと、そこは歌純の学校よりずっと立派な教室だった。
「すっ……ごい……」
「僕達も転入して初めて見たときには驚いたよ」
白い髪の男の子がやはりほわほわと笑いながらそう言う。
「へぇー……、どうでも良いんだけど、転入生だったんだ」
「どうでも……うん」
歌純は素直過ぎる面があり、今のもわざとではない。
しかし、フォロー可能とそうでない事とはやはりあるもので。
ばっさり一蹴された男の子に、誰もが心の中で手を合わせた。
「……さてと。それで三郷さん、試しに同じ事をやってみて貰えるかな」
「分かった」
赤髪の男の子に言われるままに、歌純はトリップした時と同じ様にパソコンを点けた。
電源が入るのを待ってから画面に手を当てる。
「……あれ?」
手は、吸い込まれない。
「どうしたの?」
「手が……溶けない」
「溶けッッ!?」
過剰に反応したのは鬼道だ。
どうやら鬼道は、こういった類の話が苦手らしかった。
「どういう事?」
「家で、自分の部屋に帰ってからパソコン点けて手を当てたら、手がパソコンに溶け込んで……吸い込まれて。気が付いたら空にいたんだけど……」
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