第1章

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脱いだ服を洗濯機の上に乾かすように、置く。ふと鏡に自分の姿が見えた。 男なのに情けない。 傷と痣だらけの、この体。何度殴られ蹴られたかわからない。 外野に見えないように顔はやられないものの、隠せる部分は散々だ。 「うっ…」 あぁ、まただ。この傷を見るたびにあいつらが、あの場所が、脳裏に浮かぶ。その度に俺は… ガラ 「君ー?きがえこ…こ…」 いきなり入ってきたそいつは俺をみてびっくりしている。 まぁそうだろうな。もう風呂に入ってるって思った奴がまだ上しか脱いでなくて、傷と痣だらけで吐いてるんだ。びっくりして当然だ。 「…あとで、消毒しよっか?でないとばい菌入っちゃうからね。ちゃんとあったまるんだよー?」 なのに、そいつはそれだけ言って…そいつなりの優しさなんだと思った。怖がらないし、理由も聞かない。それだけのことかもしらないけど嬉しかった。その優しさが…。
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