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「うまい…」
思わず漏らした呟きをそいつは逃さなかった。
「でしょー?料理は自信あるんだよ!!」
ドヤ顔でそういうそいつが可笑しくて、
「ははっ」
久しぶりに自分への慰めではなく自然に笑った気がした。
「俺ね、白井晴空シライハルア。君の名前は?」
「来谷翔クタニカケル。」
「翔君か、よろしくね!」
「よろしくっていってもこれ以上お世話になるわけにはいかないんで俺はもう…」
ほんとに、これ以上世話になるわけにいかない。関係無い人を、こんなにも親切で綺麗な人を巻き込むわけにはいかない。
「触れないようにしてたけどさ、ちゃんと聞かなきゃね。翔君さ、行くとこないでしょ?」
「…いえ。あります」
図星を付かれて思わず目をそらしてしまう。
「どこ?」
「……ばぁちゃんの家に」
そんなの真っ赤なうそだ。ばぁちゃんなんて俺が小学校の、時に死んだ。
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