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鬱蒼とした森の間を掻き分けながら、短剣を片手に道無き道を進んで行く。半分は胸を躍らせつつ、半分は突如魔物や魔法使いが現れるのではないかという一抹の不安に辺りに気を配らせながら、さーっと吹く風が頬の汗を優しくそっと撫でつけると、シュシルは周りの気配を確認しながら汗を拭った。
そこら中に張り巡らされた蔓蔦と、その建物より高い大きな樹木に囲まれた外壁、目的の「其れ」はあった。 壁から中を見上げると1番上の先端部分しか見えない。白くて大きな城。白壁の高さから数十階建ての城が目の前に聳えている。
ようやく辿り着くことが出来た―
シュシルは眦から落ちる汗をそっと拭い、にこやかに微笑んだ。
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