第2章 鈴蘭の花

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   白い扉のある階段には、樹木でできた郭(くるわ)が階段の入り口だけ数メートルほど山なりに高くなり、荷馬車が何台も並んで通れるくらいの巨大なアーケードになっていた。よく見ると所々揖斐て白くなった蔦や、先の尖った刺(とげ)が生互し合い枳殻(からたち)などが、絡み合っている。  その樹木のアーケードを潜ると大きくて聳え立つ城全体の風貌を見ることができた。  白い扉を囲うように、正面の壁には小さな菱(ひし)形の窓や、丸窓がいくつもあり、色とりどりのステンドガラスが花の形で彩(いろど)りを添えている。見上げると、頂上にはいくつかある尖塔(せんとう)と、そこから半球ドーム状に伸びた太く白い柱が何本も建っている。薄い水色をしたその尖塔の先に風にはためいて止まったままの旗が、特殊なルーン文字「C」の意味の紋章が付けられてあるのを、シュシルは片目で追いながら真っ白で堅牢(けんろう)な大理石の階段を足早に上がって行った。  
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