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「もしもしっ!? 優子っ!?」
一度切り、すぐにまた電話をしてみたが繋がらない。
「くそっ、電源を切ったな…!」
スマホを睨みつけて八つ当たりしても事の次第が変わることはなく、歯の奥をギリッと噛んだ後、仕方なくスマホをポケットに収めた。
「……」
電話の向こう側の優子は声を潜めて泣いていた。
わかってはいたが、さっき俺に対して見せた言動は全て芝居だったってわけだ。
でも、どうして突然あんな嘘をついたんだ……?
俺に別れを告げ、見合い相手との結婚に踏み切った理由は一体何だ……?
「……」
こんなことを今考えても仕方ない。
優子は今から見合い相手と会うつもりなんだ。
とにかく、今は優子を探して捕まえることが先決だ。
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