第12話

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でも、電話が繋がらない状態でどうやって捕まえたらいい…? 両手でこめかみの辺りを抑えて目を瞑り、全神経を脳に集中させる。 今こそ働けよ、俺の脳みそ…… “近くですから” すっかり酔いが覚めた頭がフル回転してヒントをもたらした。 彼と優子の会話からすると待ち合わせ場所はここからそう遠いものではない。 それに…… さっき、電話の背後からかすかに漏れ聞こえたメロディーは聞き覚えがある。 どこかで……聞いたことがある。 「…!!」 俺は覚醒したように目を開けた。 そうだ、あれは会社近くのからくり時計のメロディだった。  出勤時に使うのとは反対側の地下鉄の出入り口付近にあるやつだ。 そういえばこの前、退社時に優子を見かけて追ったけど見失って… その時、パーキングから車に乗った二人を見つけたんだった。
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