第12話

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きっと、今回もあそこで待ち合わせをしている…! 俺はすぐさま大通りめがけてダッシュし、車道に身を乗り出して。 「タクシー!!」 大きく手を振ってタクシーを呼び止めにかかった。 「大人しく騙されておけばよかったのに」 さっきよりも笑みを濃くしたことに、ゾワリと身の毛がよだつ。 「女は多少馬鹿な方がいいですよ? 賢い女は全く可愛げがない」 「放してよっ」 持てる全ての力を結集させ、勅使河原さんの胸を押して離れた。 「やれやれ、せっかくの小道具が無駄になってしまった」 勅使河原さんは転がった品を面倒げに拾い上げ、フロントガラス前に置いた。
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