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距離をとったと言っても車内であることには変わりなく、緊張が高まる。
勅使河原さんは私を騙していた。
でも、なぜ…?
私は彼のことなど今の今まで知らなかったし、恨みを買う様な事などした覚えはない。
「うまく嵌めたつもりだったのに、どうしてわかったのです?」
目の奥がぎらつき、ゴクリ、息をのむ。
どうしたもこうしたも私は単にひっかけただけで、依然として私を欺
いていた彼の真意を見抜いていない。
「それは… 」
でも、一つ言わせてもらうならば。
「私に対する愛情があなたからは微塵も感じられなかったからです」
「……」
今なら合点がいくけど、短時間で話をどんどん進めようとしたことも考えてみればおかしなことだった。
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