13.

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 大学バスケ界ではどうだったのか詳しくは知らないが、バスケットの専門誌によく名前があったのは記憶している。小さくうなずいた。 「やっぱり・・・。自分も大学でバスケをやっていて、対戦したこともあります。そうですか・・・慶明の田上。社会人には行かなかったと聞いています。こんな形で再会するなんて、本当に残念です。」  丸山さんの声は3分の1程度しか耳に入ってこない。康介の頬に手を当ててみる。外を走ってきたような冷たさを感じ思わず手を引っ込める。 もう一度・・・。手を伸ばす。今度は肩。少しゆすってみる。 「康介・・・。」  声をかけるが反応がない。今度は強めにゆすってみる。 「康介・・・!」  こんな時いつもの康介ならはにかんだ笑顔を見せる。眠っているように見える康介の顔をじっと見つめる。『美奈子。』呼ばれたような気がした。  看護師や警察の人たちが遠目に見つめていた。
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