13.

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 25歳の3月31日を迎えた。そう・・・あれから1年たった。いまだに康介がいない生活には慣れない。あの日康介の面影を持つ少年と出会うまでは・・・。  康介の一周忌は10時からだった。全てを済ませて15時5分前に母校に着いた。1年・・・ここは何も変わらない。桜もいつものように咲いている。  生ぬるい風が大きく桜の木を揺らした。その時。康介が立っているのかと思う程よく似た少年が立っていた。 「やっと会えたね。」  少年は言った。声も・・・康介によく似てる・・・。 「だ・・・れ?」  少年は軽く微笑んだ。 「ごめん。美奈子さん。俺はずっと美奈子さんのこと・・・知ってた。んーーー知ってたという表現は正しくはないかな・・・。兄貴から散々聞かされてきたから、知っている気になってた。」 「兄貴?」  ふと暗い表情になる。 「田上康介。」
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