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『美奈子・・・。ごめん。』
「もう言わないで。」
『もう俺のことは忘れてほしい。』
顔を上げる。康介は悲しそうに見つめていた。
『美奈子には幸せになってほしい。』
「それ以上言わないで!!」
康介がゆっくり髪をなでる。涙で康介の顔が揺れる。
『泣き虫だな・・・。これじゃ、心配で逝けないよ。』
「じゃぁ・・・連れて行って。」
康介は悲しそうな顔のまま無言でゆっくり首を振る。
『だめだよ。美奈子のこと待っている人たちがいるだろ?ごめんな。』
優しい声だ。
『忘れることができないのなら、忘れなくてもいいよ。俺も美奈子のことを忘れない。ずっと待ってる。』
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