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「ごめん、ごめんね?俺なん
でもするから、嫌いにならな
いで」
俺は七海の腕にすがり、七
海は俺の前髪を乱暴に引っ張
る――
「陽介……俺を怒らせて、お
仕置きされたいだけだろう?」
ギクリとしてしまう。
本当に七海は俺のことをよ
く知っている。全部見張られ
ている気さえした。
「ち、ちが――」
「陽介。ボタン出してごらん」
淋しいから、だから嘘をつ
いただけなのに……
ブレザーのポケットからボ
タンを出して、七海の手の平
に乗せると、そのまま手を掴
まれた――
「陽介の嘘吐き。嘘吐きは嫌
いだ」
「やだ!嫌いにならないで!
それだけはダメだ!!」
捨てられたら生きてはいけ
ないと、七海に抱き付いて懇
願する。
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