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「当り前よ!
あたしの気持ちは本物なの!」
涙で赤くなった目を社長の方に向け土萌は叫んだ。
「ふむ……」
意味深に社長は腕組みをした。
「(何か企んでやがる?)」
元也はジーッと社長を凝視する。
「俺……。
ずっと如月の事好きだった。
でも次元が違うからって自分に言い聞かせてた。
もう俺も自分の気持ちに嘘つきたくない。
好きだ、土萌……」
秀治からの劇的な告白。
秀治は力強く土萌を抱きしめる。
「秀治!」
それに応えるように土萌も秀治にギュッと抱きついた。
「オイオイ。
みんなこっち見てるぜ。
そういうのは二人きりの時するんだな」
いい感じになってる所に元也は水を差すように言う。
元也が言った通り、事務所にいるスタッフと所属タレント達は興味深々にこちらのやりとりを見ているのが痛いほどわかった。
「空気の読めないピエロだな」
嫌味混じりに秀治は呟く。
「何か?」
秀治の呟きに流石の元也もイラッとしたようだ。
「別に」
プイッと秀治はそっぽ向く。
「二人の気持ちはしかと見届けた。
ならば潔くこのオファーを受けるがよい」
ババンと社長は一通のFAXを三人の前に差し出した。
「何で上から目線なのよ?
まぁ、社長だからいいけど……。
これって……」
ブツブツ文句を言いながら土萌は紙を見た。
そしてごくりと生唾を飲んだ。
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