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「ちょっと部屋に荷物を置いてくるから。 ソファーに掛けて待ってて!」 私は雄哉をリビングで待たせ、後を追ってくるマロンと共に奥の自室へ荷物を置きに向かった。 部屋の中にはほとんど物がなく、窓際に置かれたベッドと小さな本棚が1つあるだけ。 そして本棚の上には、長年使っていた耐熱ガラス製の灰皿が置いてある。 キャリーバッグをベッドの足元に置き、そのまますぐに部屋を出てきた私。 リビングで待たせていた雄哉の様子を伺うと、彼はぼーっとどこか一点を見つめていた。 その表情は虚ろで、何かを思い悩んでいるようにも見える。
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