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昨夜は一睡もできなかった。
釈迦敷さんに打ち明けられた新たな計画。
そしてその計画と共に上がった彼の事が頭から離れなくて・・・。
“桜城拓朗”という名前。
そして左手に残る負傷の跡・・・。
もうずっと会っていない。
だけど私は、彼の事をずっと忘れられずにいた。
「ピアノ、続けてたんだ・・・。」
彼のピアノが素晴らしい事は、もうずっと前から知っている。
そして左手にあるはずの大きな火傷跡の原因も・・・。
あの頃の私たちはまだ幼かった。
だから、事の重大さをお互い理解できていなかったのかもしれない。
今は違う。
私は大人になったし、彼もまた大人になっているのだから・・・。
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