春の目覚め

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ほっと息を吐いて、道の脇に生えた薔薇の頭を撫ぜる。 辺りが薄暗いので目でははっきりと確かめられないが、まだ固い蕾だった。 何だかんだ言って、まだ彼女は子供だ。 この街の司祭になってかれこれ十年余りも経ち、三十を過ぎてしまった私より、一回り以上も下なのだ。 聞く限り、相手の男もかなり年上のようだから、過ちを犯さないだけの分別は持ち合わせているだろう。 ぼんやりしている暇はない、まだ寝る前までやることが残っていると自分を追い立てて、礼拝堂に戻る足を早めた。
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