1.その目覚めは真冬の朝に似て

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   真希は現状を把握すべく再度周囲を見回す。 部屋の大きさは10畳ほど。 ベッドの他には壁際に机が1つとロッカーが2つだけ。 出入り口とおぼしき扉は壁と同じくログハウス風のものが1つ。  とりあえず、全然ワケわかんないけど…… この男が寝てるうちに逃げるが勝ちっしょ。 起きてきたら何されるかわかんないし。  真希は音を立てないよう注意しながら素早くベッドを降り、ドアへと向かう。 瞬間、真希は気付いた。 ようやく気付いた、と言うべきだろうか。  なっ、なんだよこれッ?!  真希の右手首から伸びる細長い鎖。 それは手首にピッタリと巻き付いた鉄の輪から、ベッドに横たわる男の手首へと繋がっている。  しまった、気付かれる……!  そう思った時にはそれはもう既に手遅れ。 真希がベッドから離れたことにより、繋がれた鎖はもう一方の鉄の輪を強く引いてしまっていた。  
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