1.その目覚めは真冬の朝に似て

11/43
前へ
/127ページ
次へ
  「んんん、ん……?」 男は現実へと文字通り引き戻された。 真希に繋がった鎖が引かれ、それによって男の意識が眠りの底から引き上げられたのだった。 「……えっ、なんだこれっ?」  男は自分の手首にはめられた手錠とその鎖に気を取られ、その鎖が伸びた先にいる少女に気付くのが一瞬遅れた。  その隙を真希は見逃さなかった。 男の視界でプリーツスカートがひらりと揺れる。 セーラー服の残像が目の前から消え、何かヒモ状のものが跳んだように見えた。 それが何かを理解する暇もなく、男の首に鎖が食い込む。 「――あギッ」 声とも息ともわからぬ音が喉から漏れる。 「……テメーよぉ、あたしに何しやがった? 眠剤か? 薬でも盛りやがったのか? あ?」 真希は、瞬時にして男の背後に回り込み、その首に手錠の鎖を巻き付けていた。  
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加