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其れは彼からのラヴレターだった――。
婦女連続キュン殺魔・通称『イヴモア』
『愛するハント、僕が君の欲求を満たしてあげるよ、他の男では君を満足させられない。さあ、頑張って僕に追い付いておいで……。
君を満足させられる素敵なプレゼントをあげるから』
そう考えるだけで悪寒を感じる、吐き気も覚える、逢ったら射殺してやりたくなる程虫酸が走る。
ラボの扉をノックして、サロン・デ・モイスチャー刑事が入って来る。永年イヴモアを追ってるキャリア組の刑事だ。
「先生、手掛かりを発見しました」
サロン刑事は現場から採取したと思しき毛髪を、ビニール袋に入れて持って来たようだ。
唯一の手掛かり。
毛髪のDNAが判れば、イヴモアに一気に近付ける。
「モイス、鑑定結果は誰の毛髪だったの?」
サロン刑事に訊ねるが。
「其れがDNAは採取出来なかったんですが、成分分析の結果、人工毛だと言う事が判りました、イヴモアはウィッグを使っていたと思われます」
ウィッグはお洒落として使う言葉でこ、正確には鬘(かつら)だが……。
「禿げキュンね」
「イヴモアが?」
「被害者よ……」
イヴモアの奴は、鬘で美男子を装い欺くだけでなく禿げである自分の弱点を武器に、被害者が禿げキュンと言う心理的な弱みにつけ込み、キュン死させた――。
被害者の気持ちが判るだけに、イヴモアが益々許せない。
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