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「……え? え?」
俺がぽかんとした顔で須永さんを見上げていると、彼は笑いを収めて今度は挑発的な表情を浮かべた。
「いいぜ、それで許してやるよ」
なんかパッと見、ほんとにそれだけで許してくれる気あるのかな、というくらいあくどい顔をしているけど、まあ、まあ、許してくれると言っているのだからお言葉に甘えることにしよう。
「ありがとうございます!」
「パジャマ洗って返せよ」
「はい!」
「メシに行くのは明日だ」
「はい! ……は?」
勢いで返事をしておいて、後半顔が素になってしまったが、誰も俺を責められないだろう。明日って早すぎない?
「お前ができる限りで俺をもてなしてくれるんだろ?」
「は、はい」
「じゃあ、明日な」
「は、はい……」
俺は若干呆然としながら返事を返した。昨日の今日で、明日かよ! と思うものの、自分から提案してしまったことなので、いまさら撤回できない。ま、別にメシ食いに行くだけだし、メシ食ったら満足してそれっきりになるだろ、と考えて一人で納得した。あーやっぱり俺の長所って楽天的なとこ以下略。
「というわけでお前ら早く出てけ。俺は仕事に行く」
その言葉に、俺たちは慌てて荷物をカバンに詰めると、俺のケータイ番号とメアドを書いたメモだけ残して、須永さんちをあとにした。あーなんかヘンな人と出会っちゃったなー、と思ったが、それよりも「起きたら隣にイケメンが寝ていた」というおいしすぎるネタをゲットしたことの方が、俺にとってプラスだった。
佑介には帰り道でジュースを奢ってやったので、明日が済めば万事解決だ。ただ、今後酒には気を付けよう、とだけ固く誓った。
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