Act.13

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 ベッドの上に二人で座って、彩人さんは丁寧に俺の服を脱がす。パーカーを脱がされて、Tシャツに手がかかる。俺は息を吸い込んだ。このあとのことを思うと心臓がバクバクうるさい。このうるささがそのまま彼への気持ちなのかと思うと目眩さえする。  彩人さんの顔を見ていられずに横を向いていたら、手が添えられて正面を向かされた。彼の顔は優しくて、一瞬ごとに見たことのない表情をする。いま俺を見つめる目も、初めて見る色をしている。強くて優しい色。  Tシャツを脱がされて、俺は上半身裸になった。まだ部屋が暖まらなくて少し寒い。身体を震わせると、彩人さんの口づけが鎖骨に落ちた。そのまま骨に沿って舌を這わせられる。ほかの箇所は寒いのに、触れられている箇所だけやけに熱い。 「……ねえ、彩人さんだけ服着てるの、ズルイよ」  彼は俺の身体から顔を離して視線を上に上げる。 「脱がせてくれるのか?」  俺の手をネクタイに導きながら言われる。俺は丁寧にネクタイを解いて、しゅるりと外す。次はワイシャツのボタン。男の人の服を脱がす経験なんてなくて、だんだん露わになる肌にゾクゾクする。襟を掴んで後ろへ引っ張ると、彩人さんは素直にワイシャツを脱いだ。  上半身裸でベッドの上で向き合う。なんだかおかしくて、二人でくすりと笑ってしまった。ふわり、部屋の空気が変わる。 「いつから俺のこと好きになった」  俺を押し倒しながら、彩人さんは聞く。片手の指を絡ませて、手の甲にキスを落とす。キザな人。 「……彩人さんが言うなら言う」  我侭を言えば、身体に落とされていたキスが乳首に触れた。上下に舐められて、唇で優しく食まれる。俺は声にならない声を上げた。こんな快感、経験したことない。 「最初からだよ」  唇が離れたと思ったら、今度は指で刺激される。円を描くように周りを撫でられて、押しつぶしたり摘まんだりして彼は俺の反応を楽しんでいる。 「う、そ……」  吐息とともに否定すると、彩人さんは胸を弄ったまま胸から腹にかけて舌を這わす。 「うそ、だっ、て……」  俺があの人に似てなかったら、と言おうとして唇を塞がれた。深く口づけられて、唾液を流し込まれる。コクリ、飲み込むと彩人さんが離れていく。 「気なったのは、似てたからだ」
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