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「あいしてる」
キスが降ってきて、何度も唇を合わせた。ちゅ、ちゅ、と啄むような子供みたいなキス。目尻から流れた涙も、彩人さんの唇が掬う。目を開けると、彩人さんが優しく笑っていた。夢じゃない。彼はもう俺のもの。確かにここにいて、触れ合っている。
俺は彩人さんの腕を掴むと、ぐっと力を入れて引っ張った。落ちてくる彩人さんを抱きとめて、体勢を反転させる。
「上手くできるか、わからないけど……」
俺は顔の位置を下にずらす。
「……俺にもやらせて」
そう言うと、彩人さんの着ていたスラックスを下着ごと下ろして、そのまま彼のモノに口付ける。ソレはもう十分な固さで勃ち上がっていて、俺の身体と声に感じていてくれたのだと思うと心臓がドキドキする。
初めて咥えた男の人のモノは少し苦い。けど、溢れてくる精液が感度の証になって、俺は息もつかずに舌を這わせる。頭上で彩人さんの息がだんだん上がっていくのが更に俺を熱くさせる。
「……もう、いいから」
髪を撫でられて、顎を持ち上げられる。彩人さんはさっきよりも余裕のない顔をしている。嬉しいなんて言ったら彼は怒るだろうか。
「これ以上されたら、すぐ挿れたくなるから……」
それじゃお前を傷つけるだろ、そう言われて笑った俺の顔はきっとふにゃふにゃしていたに違いない。さっきから幸せのリミットが振り切れている。「大好き」とか「愛してる」とか言わなくても、通じ合う言葉を俺たちは知っている。
「『ナカに入って』……言ったよな?」
額がつくくらいの近さで言われて、カッと顔が赤くなる。あれは、逃げてほしくなくて……。
「……言った」
俺も、逃げない。俺は自分から横になると、彩人さんに見えるようにソコを持ち上げた。
「……イイ子だ」
くすり、彩人さんは笑う。ほんとは顔から火が出そうなほど恥ずかしい。こんなトコロ、誰にも見られたことない。でも、その先にもっと愛し合えるコトが待っているから。もう意地は張らない。彩人さんは自分の指を丁寧に舐めると、一度目を合わせた。
「きて……」
小さく呟くと、ソコに指が押し入ってきた。は、と息を詰める。
「力抜け。大丈夫だから」
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