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「2人ともとてもいい勝負でした!」
箒をぎゅっと持ちながらテトテトと小走りで此方にやや興奮した様子で近づいてきた。
「く……っ カイト先輩を仕留めれなかったのは残念ですがいい経験になりました。またお相手お願いしますね」
悔しそうに言っているのだが怒りが混じっているかのように僕を睨みつけてくるククリ……。冷静そうに見えて意外と負けず嫌いなようで僕自身相手のしがいがあるし腕が鳴りそうだ。
「うん、わかったよ。次は僕を驚かせるくらい強くなってみなよ」
「知ってます。……武器も消えたようですし、持っていきましょうか。セシリア先輩も呼んでますし」
持っていた武器が完全に消えたのを確認すると重たいゴミ袋を持ち上げ、一輪車と車輪に乗せて行く。
ククリも自然と察したのだろうか、例え運びやすくなったとしてもバランスを崩したりという危険性があるため、僕とククリでそれを運んで行く。
「カイト先輩、先輩に運ばせるのは申し訳ないです。私が運びます」
「ありがとう、プレシア。けれども君は僕たちよりも沢山掃除をしてくれただろう? それに、力仕事は男の仕事だから、プレシアは手を休ませていてくれないか? 運ばない代わりに僕たちの護衛を頼むよ」
「は……はいっ!」
嬉しそうな明るいトーンの返事が旧校舎の静寂な廊下に反射をしながら響き渡る。
自分にだけ仕事はないというのは僕だって罪悪感を感じたりしてしまうものだ。プレシアも、誰に似たのか良くも悪くも仕事熱心な部分があるから休憩という名の護衛でもと思ったんだけど……気を配りすぎている様子からすると、逆効果だったのかと心配したりしてしまう。
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