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いつもに比べて闇の密度が濃い夜。
リリースするCDのパッケージについてスタッフと話し合っていたら結構な時間になってしまった。
それから家に着いて軽くご飯を食べてお風呂に入っていたりしたら、時刻はもう日付が変わるとき。
最近はいろいろバタバタしていて忙しいから、柚夢ももう寝ちゃったかなと思いながら柚夢の部屋の扉をノックする。
するとすぐに扉が開いて、ホッとしたのも束の間。
「…っわ!」
扉が開いたと同時に腕を捕まれて部屋の中に飛び込むようにして入った。
バタン、と扉の閉まる音よりも先に大きな胸の中に閉じ込められる。
上半身裸の柚夢に抱き締められていることは瞬時に理解したけれど、直に触れている肌から柚夢の鼓動が聞こえてきて。
どくん、と私の鼓動も加速した。
「……遅い」
「ご、めん…」
声音から静かな怒りが感じられて、素直に謝ると、少しだけ腕が緩んで柚夢の顔を見上げた。
「お風呂入ったばかり?」
「うん」
「…一緒に入ればその間も一緒にいれたのに」
「もう入っちゃったかなと思って…」
「悠……」
拗ねたように唇を尖らせる愛おしい人のすっかり乾いた髪を撫でると。
自然と合わさる、唇。
お風呂上がりの私の唇の方が、温度が高い気がした。
でもそれもキスの時間が経つにつれてお互いの温度が交ざり合い、分からなくなる。
バスローブだけを来た私の背中と膝の裏に腕を回した柚夢は、軽々と私を持ち上げてダブルベッドへと静かに下ろした。
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