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【当事者悠の衝撃】
悠にはよく分からない、恋愛感情なのかどうか。
愛花に大和には気をつけろとか付き合っていないのなら距離を考えろとか言われたがなにをどう考えたらいいのか、どう距離をとったらいいのかも分からない。
「悠、どうだ?」
膝に乗せられ、逞しい胸に体をあずけるように座っている今の状況から問題があるのだといいたいのかもしれないがこの距離は心地がよくてどうやめたらいいのかも分からない。
それに大和の何に気をつけたらいいのか、確かに彼は打ち解けるとスキンシップ過多だがいやらしさはないし、彼のことだ下心なんてあるはずもない。
だったら警戒するだけ無駄じゃないか。
「すっごくいい曲。大和の選曲は外れないね」
膝に抱き抱えられながら音楽を聞いているのはおかしいのかもしれないがもういつものことなのだから仕方がない。
顔を埋めるように首筋に鼻を埋められるが別にいやらしさは感じない、いい匂いだななんて囁く声はどろどろにまるでバニラのように甘かったがその甘さは嫌いでない。
それにただ音楽仲間として甘いだけで欲望などその声には含められていないだろう。
「…んっ、大和くすぐったい」
くんくんと匂いをかがれ、シャワーを浴びた後だからいいものの若干恥ずかしさを感じ始めてきた。
そのまままるで甘がみするように噛まれてしまい思わずもれでた鼻のかかった甘い声に私は少しだけ身じろいだ。
「甘い、なあ喰ってもいいだろ?」
「だから私は食べても美味しくないっていつも言って、」
「……そういう意味じゃねえよ。分かるだろ?」
まあもう分かってなくてもいいけど。
舐められた首筋に思わず目を丸くして振り向くと見たこともないような顔で嗤っていた。
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