第1章

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D「それにしても、子供に無理させてまで、旅立つ必要はあるのか? 皆、今までどおり、この地球で暮らしていれば良いのでは?」 室内にある、スクリーンに映像が映し出される。 その映像は、人間たちが和気藹々と過ごしている映像である。結婚式にて、周りから祝福される二人の男女と一人の子供。 M「やはり、人間には人間たちが必要です。この子が大きくなり、周りを囲んでいるのが、我々、機械生命体であるのは酷な事ではないかと、わたしは判断します」 G「同意する」 D「…」 M「それでは今より、外の世界と、この居住スペースは完全に隔離します」 D「どういうことだ、それは?」 M「これからの長い旅、道中には、さまざまな試練が待ち受けていることでしょう。おそらく、この子供にとっては少々刺激が強いのではないかと、そう思うからです。たとえば、我々の姿も例外ではありません。子供が、巨大な物体を目の前にすれば、たちまち恐怖し、それが後で「トラウマ」という形で子供の中に残ってしまう。宇宙での地球外生命体との戦闘なども、これに値します。旅の道中の景色なども、子供にとっては刺激が強い可能性があるため、壁などのスクリーンには地上の景色を映し、戦闘の際などに生じる機体の揺れは、荒れた道を走っているのだと、そう誤解させましょう」 D「確かに、我々の当たり前と、人の子の当たり前というのは大層な違いが存在するのであろうな。なら俺たちも、子供に接触する際には、今と同じよう、小型作業ロボットを用いることにしよう」 G「了解」 M「それがいいでしょう。それでは、そろそろ出発します。味方に、あまり無理をさせるわけにもいきません」 ダイキュリーとギムレットが連結されたモスコミュールが発進する。 進路にはエイリアンと戦う地球防衛軍がおり、あまり余裕が無い。 D「押されているな。俺も加わり、道を切り開く」 M「お待ちください。もう、時間がありません。このまま進みます」 D「宇宙へと出るまでには、必ずモスコミュールにもどる」 G「ならば、わたしも」 M「それはさすがに無理があります。可能なのはダイキュリー一体までです」 G「ならば、わたしの分まで頼む」 D「了解した」 モスコミュールからの連結が外れると、ダイキュリーは敵の元へと飛んでいく。 地球防衛軍とエイリアンとが戦っている、上空に移動すると。 D「皆、俺に力を」
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