第1章

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M「ダイキュリー、ギムレットの言う通りです。先を急ぎましょう」 D「ならば、ギムレットが欠けた際の戦力差をどう埋める? これより先にも、敵は待ち構えているのかもしれないぞ?」 M「ここで、新たに被害を被る可能性だってあります」 D「……同意する」 ギムレットを取り込んでいる巨大生命体の横を通り過ぎていく、ダイキュリーと子供を乗せたモスコミュール。その先にあるブラックホールを目指す。 G「こいつを放って置けば、あとで皆を追う可能性があるな」 ギムレット、自分の持てる全ての力を用いて自爆する。 その爆発に背を向けたまま、ダイキュリーとモスコミュールはブラックホールの中に進入した。 ホワイトホールに転じて別の宇宙に飛び出したとき、その彼方に地球そっくりの惑星が浮かんでいるのを発見する。 M「急ぎましょう。あの星が、我々の希望であることを信じて」 D「ああ。それより、子供の方はいいのか?」 モスコミュール内部の居住スペースで、子供は無気力に、膝を抱えて座っていた。 M「ダイキュリー、あなたの言っていた通りです。嘘をつくことが、結果的に、彼を傷つけることになってしまいました」 D「君の言っていたことも正しい。やはり、我々に人間の代わりは務まらないのだろう」 M「そうですね。ならば、なおのこと、先を急がなくてはなりません。彼を早く、同じ仲間である人間に会わせましょう」 D「了解した」 ブラックホールを抜け、地球に似た惑星へと近づいていく、ダイキュリーとモスコミュール。 そして、ダイキュリーたちの存在に気づいたのか、惑星から宇宙迎撃艦隊が出撃する。 艦の中に、人の姿を確認したモスコミュール。 M「どうやら、この星は宇宙生命体に侵略されることなく、ちゃんとホモサピエンスが文明を築いているようですね。彼を、この星の住人に預けましょう」 モスコミュールは、迎撃宇宙艦隊旗艦との交信を始める。 D「彼らは何と言っている」 M「今、彼らの扱っている言語を解析中です」 M「完了しました。初めまして。我々は人類より命を与えられた存在、モスコミュールとダイキュリー。我々は、あなた方の同胞を一人預かっています。引き渡しに応じて下さい」 迎撃宇宙艦隊旗艦の司令官を名乗る男が、通信に応えた。 「いいだろう。我々はそれに応じる」 D「よかった。これで…」 M「いえ。声紋分析の結果、あまり好意的な反応ではありません」
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