0人が本棚に入れています
本棚に追加
M「ダイキュリー、ギムレットの言う通りです。先を急ぎましょう」
D「ならば、ギムレットが欠けた際の戦力差をどう埋める? これより先にも、敵は待ち構えているのかもしれないぞ?」
M「ここで、新たに被害を被る可能性だってあります」
D「……同意する」
ギムレットを取り込んでいる巨大生命体の横を通り過ぎていく、ダイキュリーと子供を乗せたモスコミュール。その先にあるブラックホールを目指す。
G「こいつを放って置けば、あとで皆を追う可能性があるな」
ギムレット、自分の持てる全ての力を用いて自爆する。
その爆発に背を向けたまま、ダイキュリーとモスコミュールはブラックホールの中に進入した。
ホワイトホールに転じて別の宇宙に飛び出したとき、その彼方に地球そっくりの惑星が浮かんでいるのを発見する。
M「急ぎましょう。あの星が、我々の希望であることを信じて」
D「ああ。それより、子供の方はいいのか?」
モスコミュール内部の居住スペースで、子供は無気力に、膝を抱えて座っていた。
M「ダイキュリー、あなたの言っていた通りです。嘘をつくことが、結果的に、彼を傷つけることになってしまいました」
D「君の言っていたことも正しい。やはり、我々に人間の代わりは務まらないのだろう」
M「そうですね。ならば、なおのこと、先を急がなくてはなりません。彼を早く、同じ仲間である人間に会わせましょう」
D「了解した」
ブラックホールを抜け、地球に似た惑星へと近づいていく、ダイキュリーとモスコミュール。
そして、ダイキュリーたちの存在に気づいたのか、惑星から宇宙迎撃艦隊が出撃する。
艦の中に、人の姿を確認したモスコミュール。
M「どうやら、この星は宇宙生命体に侵略されることなく、ちゃんとホモサピエンスが文明を築いているようですね。彼を、この星の住人に預けましょう」
モスコミュールは、迎撃宇宙艦隊旗艦との交信を始める。
D「彼らは何と言っている」
M「今、彼らの扱っている言語を解析中です」
M「完了しました。初めまして。我々は人類より命を与えられた存在、モスコミュールとダイキュリー。我々は、あなた方の同胞を一人預かっています。引き渡しに応じて下さい」
迎撃宇宙艦隊旗艦の司令官を名乗る男が、通信に応えた。
「いいだろう。我々はそれに応じる」
D「よかった。これで…」
M「いえ。声紋分析の結果、あまり好意的な反応ではありません」
最初のコメントを投稿しよう!