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できちゃったの・・・
「あの・・・みなさんせっかくだからゲームでもして遊びませんか」
ひと月ほど前のことである。
このキャリアデザインセンターにまたひとりの男が送り込まれてきた。
これで総勢11人となったわけだが、会社側はもちろんサッカーなどやらせるつもりはない。
各部署のいわゆる「出来ない奴」をこのキャリアデザインセンターに押しこめて様々な嫌がらせを行い、自主退職に追い込んでいく。
ここはいわゆる「追い出し部屋」というわけである。
どんなに部署が忙しくても残業を一切拒否するマイペース社員、指示されたこと意外は一切やらない指示待ち社員、「働いたら負け」と言ってはばからない無気力ゆとり社員など・・・
あらゆる職場の問題児たち・・・とりわけ向上心がなく仕事に消極的な若い社員がこの部屋に集められている。
口を開くと他の社員を「社畜」と言い、会社のことを「ブラック会社」と非難していた。
そこへ先月配属されたばかりの男が、それまで名前意外は一切喋らなかったのに突然口を開いたかと思うと「ゲームをしよう」などと提案してきたのである。
聞けばその男は趣味でスマートフォンのアプリを作っているという。
それで「みんなで遊べるゲームを作ってきたのでやらないか」と、こう持ちかけてきたのである。
どうやらオタク社員のようだ。
このキャリアデザインセンターという名前の追い出し部屋でやることと言えば、誰もが面倒に思える単純作業ばかりである。
オタク社員の話によると、その単純作業を面白くするゲームだというのだ。
会社側は彼らに単純作業を課し、この部屋の連中が音を上げてリタイアするのを待っている。
そんな辛い職場環境が少しでも楽しくなるならやってやろうじゃないかと、みんなはオタク社員の話を詳しく聞いてみることにした。
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