近くて遠い体温

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「……どうせなら、俺だけ焼いてくんねぇかなぁ」 ネガティブな事ばっか言うコイツを茶化そうとして 「火炙りにでもされる気?本物の魔女は火刑じゃ死なないらしいけどね」 飛ばした冗談に恵斗もケラケラと笑って。 「そうだなー、お前とかな?」 「ひっで、アンタが焼け死んだらこの魔女が骨くらい拾ってやろうと思ったのに」 冗談を言う余裕は出たらしい、ついでに覚悟も決まったみたいだ。 「ちょっとカムしてくる」 「コンビニとかトイレじゃないんだからさ」 勢いよく跳ね起きて、さらっと言った恵斗に思わず吹き出しながら。 「いってらっしゃい、覚悟してね」 「いってきます、あー……あとあれだ」 さっさと歩き出した背中に声を掛けてやると、振り返って笑った恵斗が思い出したみたいにポケットを漁って。 「飯代、勝手に食って」 「ごちーっす」 財布から出して投げられた500円玉を受け取って、アタシは大袈裟に頭を下げた。 負けんな、恵斗。
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