近くて遠い体温

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「なぁ、恵斗ぉ」 「あー?」 隣の恵斗の肩に頭を乗せながら煙を吐き出して、。 「生きづらいよなぁ」 「あー、面倒臭ぇな」 わしわしと頭を撫でながら笑う恵斗の腕。 「せめて、どっちかが逆ならね」 「それならノーマルに生まれた方が早かったろ」 恵斗は男しか抱けない、アタシは女じゃ無きゃ濡れない。 詰まりはそういう事。 一度試してみた事もあった、もしかしたらなんて甘い希望を二人で抱いてみた。 結果は惨敗だ。 そういう対象にお互いを認識しようとした瞬間、二人して酷い嫌悪感を抱いた。 恵斗に至ってはアタシのそれを見て嘔吐までしたし、アタシはアタシで1ヶ月は恵斗に触れなかった。 これは、心の問題。 そう生まれたんだから仕方無いって、割り切って生きるしかない。 未来なんて見えないし、見たくもない。
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