近くて遠い体温

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「梨理、男女の友情ってさぁ。やっぱねぇよなぁ」 ポツリ、恵斗がぼんやりと視線を斜め上に放り投げながら呟く。 「それアタシ達全否定じゃね?」 「おー、全否定だ。もう……止めようや……」 なんとなく、そんな気はした。 だから離れたくなかったし、離したくなかったんだと思う。 「お袋がよぉ……梨理との結婚せっつくんだわ、無理だろ?それは」 苦笑いしながら顔を向けてくる恵斗。想像もしなかった、でもなんとなく理解した。 周りから見ればきっと、アタシ達はそういう風に映るんだろう。 「俺さぁ……絶縁覚悟でカムするわ、でもそん時にお前って逃げ場があったらダメだと思うんだよ」 恵斗の声は、震えていた。気持ちは分からなくない。 世間じゃあ。やれオネエだのBLだの、さも受け入れました。みたいな顔してるクセに。 いざそれが現実味を帯びてくると、拒絶する。 現実とフィクションの境界線が見えづらくなってるから、何処か現実すら作り物みたいに楽しんでやがるからだ。 実際身内がそうだと知った時、鬼に変わる人間は決して少なくないし。 糾弾されなくても、まるで腫れ物みたいに扱われる。 「キッツいよ?」 アタシは、それが原因で。家には二度と戻れない。 家族は大好きだった、優しくも厳しい母にとぼけて明るい父。二人居た弟もアタシなりに可愛がってた。 それを、普通に恋を出来ないから。喪った。
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