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「お前んトコの話は知ってる。っつーか、それ聞いて覚悟決めた」
普段適当なクセにって言うか、普段が普段だから。決めた時のコイツは強い、真っ直ぐ前を向いた横顔にうっかり惚れそうな気もする。
いや、女だったら抱かれてた。
「なら、砕けてきなよ。骨は拾ったげる」
「ばーか、それじゃあお前に逃げちまうじゃんか」
背中を叩いてやると、へらへらと笑いながら短くなった煙草を灰皿に捩じ込んだ。
「アタシは逃げ場にしたよ、アンタの事。分かってくれる人間が居ないのは……ツラすぎる……」
その時、太股に鋭い熱を感じた。
視線を落とすと、煙草の灰。
「あっつ!?」
「お前バカ!何してんだよ!?」
灰を捨て忘れてた。
慌てて払うも、その部分は少し赤くなっていた。
「ったく、真面目な話してんのによー……ちょっと待ってろ」
「あはは、悪いっ」
恵斗の持ってきた氷をその部分に直に当てながら。
「で、なんの話だっけ?」
「俺がカムするって話」
「あー、それね」
「ちょっと怒っていいか?」
「わざとじゃないんだし許せっ」
二人してへらへらと笑い合うと、チクリと胸が傷んだ。
本当にどうして恵斗が男なのか、アタシが男じゃないのか、普通に男を愛せないのか。
複雑すぎて、自分でも訳がわからなくなる。
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