やり直し

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いつもなら… 私だけでも早起きするところだけど 「…そうですね。でも…サンタはきっと…大忙しですよ」 子供染みた会話だってわかってる。 普段の渉さんなら『バカか』の一言で終わる話も、クリスマスだけは特別。 「…いいじゃねえかよ。年に一度だろ?俺が一年にどんだけ働いてると思ってんだ?年に一日くらい死ぬ気で働けっつうんだよ」 「そ、そんな言い方…。年に一度の今日のために、一年間準備してるかもしれないじゃないですか…というか、絶対してます」 「んなわけねーだろ。だいたい年中ぐだぐだしてるからあんなに腹が出てんだよ」 「そんな言い方…、太ってるって…あれはたぶんイメージですよ。あの体型に白い髭(ヒゲ)って言うのがサンタクロースの定番なんですよ」 「…定番ねえ」 私たちの会話は布団の中でしばらく続いた。 下では佐和子さんも会長も私たちを待っているような気がしたけれど、 今日は渉さんのペースに合わせようと決めていた。
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