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下に降りたのは随分と遅く、私たちは軽く朝食を食べた。
「佐和子さん、すみません」
キッチンで私たちのお茶を入れてくれようとしていた佐和子さんに声を掛けると、彼女は笑顔で声を潜めた。
「いいんですよ。今日は…坊ちゃまのそばにいてあげて」
私は佐和子さんにゆっくりと深く頷いた。
お茶を飲みながら渉さんがツリーに目をやる。
「…なんだか…仕事する気にもなんねえな。平日だったらなんてことねえのに。土曜で、これじゃ」
「今日くらい仕事のことは忘れましょうよ。今日、他に予定が入ってないのは…早速の…事前の…サンタからのプレゼントですよ」
「…お前、必死過ぎて…バカっぽい。何にもやることねえしな…あ、お前の母親、夕方電車で来るんだよな?」
「はい…そのつもりです」
「やることねえし、迎えに行ってくる」
「…え?」
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