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「気を付けて行って来てくださいね」
渉さんに念を押して見送り、キッチンを覗く。
「佐和子さん、何を手伝いましょう？」
佐和子さんもことの成り行きに驚きつつも、一人になった私を受け入れてくれた。
何でも手作りが主義の佐和子さんが考えてくれたメニューのために、キッチンは朝からほとんどフル回転だった。
掃除をして、お昼を過ぎ、渉さんと母のことを気にしながら徐々に外は暗くなっていった。
キッチンでは次々に料理が完成し始め、その度に感動しつつも、渉さんたちの帰りが遅いような気がして時計を見る回数が増えていた。
会長と佐和子さんに母を会わせることに緊張が高まりつつ、それに重ねて不安まで感じ始めた頃、タイミングよく玄関のインターホンがキッチンで響く。
「帰ってきた！」
私はその音に飛び跳ね、慌てて玄関に向かった。
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