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「お帰りなさい」
そう言えたことに心からホッとする。
「ただいま」
渉さんのそれを聞いてさらに安堵が広がる。
そして、渉さんに連れられてきた母は迎えようとした私を逆に笑顔で出迎えてくれた。
「…久しぶり。すごいお屋敷でびっくりしちゃった。こんなお屋敷で望愛に出迎えられるとは…なんだか変な感じね」
「中はもっと素敵だよ。…遅いから心配しちゃった。渉さんに迷惑掛けたりしてない?」
「掛けてねえよ」
母の代わりに渉さんが返事をする。
「腹減った。夕飯のために昼は軽くしたし、料理は?」
「もうほとんどできてます。すっごく美味しそうですよ」
「ならもう食べようぜ。あ、お義母さん、こっちです」
「ありがとう」
渉さんは母を連れてダイニングに入って行く。
二人の自然なやり取りに、自分が緊張していたことなんて…
忘れそうだった。
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