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友也は大袈裟に手で顔を覆って悲しんでいるフリをしている。うぜぇ
彩十もあからさまに迷惑顔をしている。
舞も困惑しているじゃないかこのKYB(空気読めない部長)め。
そういえばなんでこいつが部長なんだろ。不思議だ。
「もういいし、勝手に話すし」
拗ねたように言う友也に内心勝手に話すのかよとツッコミをいれながら耳をかたむけた。
まぁ作業音として聞き流しとけばいいだろと思い作業を再開する。彩十も同じ事を思ったのか何も言わない。
そして本当に友矢は勝手に話し始めた。
「舞はさ、[てけてけさん]って知ってる?」
「えっ…、あっはい知ってます。都市伝説ですよね?上半身だけの女の子、下半身を求めて人をおそう妖怪みたいな」
「そうそれ、[てけてけさん]は電車にひかれ死んでしまった子が霊となり人を襲い下半身をちぎり取る。」
友矢が話し始めたのは有名な都市伝説だった。[てけてけさん]腕だけで人を追いかけ下半身をちぎり取る。その姿を想像したときに腕の筋肉がやばいなと思ったのはいつの事だったか。
ふと横を見ると彩十は怯えた顔をしていた。こいつ怪談話は苦手だったのか?
「その[てけてけさん]がさ最近この町に出るらしいんだよ」
その場が凍りついたのが分かった。なんだか嫌な汗が流れた。
折る紙は彩十のもっているので最後だ。
「最近不審者が出るって言われたろ。その被害者におれの知り合いいてさその子が言うには上半身だけの女の子が追いかけ来たっていうんだよ。その子はどうにか逃げたらしいけど、その追いかけられた場所が高校の近くなんだ」
友矢の言うとおりSTで先生が「不審者がでるので出来るだけ早く帰るように」と言ってた事を思い出す。
「まぁ、それがほんまでもそうじゃなくてもさっさと帰ろうぜー。彩十くんそれが最後の1枚やろ?」
「あっ、うん」
「なんか暗いよー、どうしたの」
お前のせいだろと内心思うが口には出さない。彩十が持っている紙を折り始めたのを見て帰る準備を始める。
やはり友矢はKYで噂好きだ。しかもこいつは聞いた噂を更に盛って話す事が多々ある。真面目に聞くのもアホらしいと思うがなぜかさっきの話は気になってしまう。
それは単に自分が怪談話好きだからなのかそれとも他に何かあるのか分からなかった。
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