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響也の本音に気付いているのかいないのか、宇賀神の表情だけでは読み取れない。何と無く、喰えない奴だなと思った。
「オレが知っているハクちゃんのことはねぇ、親戚の人と暮らしているってことと、人間恐怖症で動物が大好きだってことかな~」
「人間恐怖症と動物のことは俺たちも知ってる 。その親戚の人って言うのが聖瑛って奴なのか??」
「その人もそうだけど、他に3人いるんだよねぇ。その内の1人がオレたちの担任の皇彩人先生~」
「ええぇっ!?ま、マジかよ!!」
「アホ天磨、声がでかい」
「だってあの皇先生だぜ!?イケメンだし話しやすいしさっ。俺、好きなんだけど!!」
皇を好きだなんて言える天磨はやっぱりアホで。響也と一緒に、残念な奴を見るかのように視線を送った。本人は全く気付いていないが。
「それで~、残りの2人なんだけどねぇ。1人はオレたちと同じ高校の後輩、2年の玖珂唯弥くんって言う子~」
「名字は同じだから親戚だと言われても納得は出来るな…そんでー最後の1人は?」
「玖珂槙志、うちの高校の校長先生だよ~」
「どうぇぇええ!?」
「だからてめーはうぜぇっつってんだろ」
オーバーリアクションを取った天磨の頭をバシッと叩く。それでも効果がないらしく天磨は口をパクパクさせていた。
誰かこいつを黙らせる方法教えてくんねーかな…天磨のお袋さんなら知っていそうだ。
「つまり、4人中3人が同じ高校にいるってことかー…それなのによく今まで誰にも気付かれなかったな」
「ハクちゃんが転校して来た時は同じ名字だからいろんな噂があったんだけどね~。うちの高校、やたらと玖珂って名字が多いしハクちゃんは誰とも関わろうとしなかったからすぐに噂は無くなったよ~」
響也の言葉に納得したのか、宇賀神はうんうんとしきりに頷いた後、何かを考えるように視線を天井に向けた。
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