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だから玖珂白桜を見ているといつもイライラしたんだろうか。散りかかって来る花びらをせき留めるような余儀ない苛立ちを常に感じていたんだろうか。 玖珂白桜のことは当初、とてつもなく嫌いだった。誰もが見惚れる容姿があるからって、授業中寝ていても教師には何も言われない。贔屓されているのがウザかった。 お金持ちのお嬢様という噂を聞いて、さらに嫌いになった。金があれば世の中どうにでもなる。きっと今まで楽な人生しか送ってこなかったんだろうと。 今思えば、かなりの偏見だったような気がする。金持ち、美少女ってだけで贔屓されている玖珂白桜はどうせ高飛車なお嬢様で我儘なんだろうと、自分の中で位置づけていた。 皇との現場を目撃してしまってからは、ビッチだということも加えてさらに嫌悪した。あの容姿を使って何人もの男を虜にしてきたんだろうと思い込んで。 でも実際は、全く違った。 授業中寝ていることにも、誰とも話さない事にも、皇に抱かれていることにも、全て理由があったんだ。俺がただ、何も知らなかっただけで。 「つ、つーかさっ!!姫が…親戚の奴らと…その…っせ、せ…っ」 「セックスね~」 「そ、そうだそれそれ!を、してるなんてどう考えてもおかしくね!?犯罪じゃん!!姫が可哀想だ!!!」 「そりゃ、オレだって止めたいけどさ~。ハクちゃんが何もしないで下さいって言うから仕方ないじゃん~。ハクちゃんに嫌われたくはないしぃ」 話し方が戻った響也だけど、まだヘラヘラした笑顔には明らかに影があった。 「んー、どうしたらいっかなー」 宇賀神が顎に手を当てて考える仕草を取れば、響也も天磨もいい案は無いかと考え始める。俺もとりあえずこのままでいいはずがないから、考えてみることにした。 .
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