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五十嵐響也side ハクちゃんが学校に来なくなって1週間、そのままオレたちは夏休みを迎えた。 夏の過酷な太陽が痛いほどの光の束を作り出し、容赦なく降り注ぐ。オレたち受験生にとっては最後の夏休み。だけど、最悪の始まり方だった。 「……姫、どうしたんだろうな…」 「ほ、ほほ本当に…心配っ、でです…っ」 「………あちぃ」 「夏休み、どうしようねぇ…」 終業式を終えて帰宅時間になる。駐輪場までいつもの4人で歩きながら、今日も同じ会話を繰り広げていた。 ハクちゃんと初めてお弁当を食べて放課後はオレたちだけで話し合った月曜日の次の日から、ハクちゃんはぱったりと学校に来なくなった。 1日だけなら風邪でもひいたのだろうかと心配するくらいだったけど、さすがに金曜日の今日まで登校していないとなると不安が大きくなる。 今朝、絶対に知っているはずのスメラギに問い詰めてみたけれど一切答えてはくれなかった。あの2年生の童顔くんを捕まえて聞き出そうとしたけれど、その童顔くんも捕まらない。 ハクちゃんの住んでいる家まで行きたいけれど、場所は分からないし親戚の奴らが絶対に近付けさせてはくれないだろう。 夏休みはハクちゃんと少しでも一緒に過ごせたらいいなといろいろ計画していただけあって、今回のことはとてもダメージが大きい。 今の時代、携帯があるから連絡は取る手段はいくらでもあるけれど、残念ながらハクちゃんは携帯を持っていなかった。 だから、直接会わなければ絶対に話すことも出来ないし、会う約束すら出来ない。あの親戚の奴らのことだから、ハクちゃんを危険な目に合わしていることはないだろうけど、やっぱり心配だ。 .
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