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夏休みに入っても何も出来ずに、2週間が過ぎた。
受験生であるオレたちは夏休みと言ってもほぼ毎日学校に行っている。夏休み中の特別課外があるからだ。
午前中だけで終わるから午後には帰れるし、自分が選択している教科の課外だから人それぞれ違う。オレとトッキーはほぼ同じだけど。
テンテンは1つも取ってないし、カズくんは塾もある。テンテンは課外がない変わりに、お父さんの居酒屋でアルバイトをしているらしい。
リュウくんはほぼ毎日ファーストフード店でアルバイト。ハクちゃんに会う前にバイトは決まっていたからシフトを多めに入れてしまったと嘆いていた。
だから夏休みに入ってから一度も5人で集まることは出来ていない。もちろん、グループLINEで連絡は取り合ってる。
ハクちゃんのことについて、何か手掛かりがなかったかとか。どうしたらハクちゃんに会えるかとか。
本当は、ハクちゃんのことについて誰かと話すなんて嫌だ。オレだけが知っていたかった。
ハクちゃんの笑顔を、ハクちゃんの声を、ハクちゃんの心を。
テンテンたちとハクちゃんが普通に会話をしたあの時、心底驚いた。そうなった経緯を聞いたときも嫉妬でどうにかなりそうだった。
オレだけのハクちゃんだと思っていたのに、ハクちゃんはオレのおかげで他の人とも話す勇気が持てたって言っていた。
オレはそんなこと、望んでいない。むしろ、ずっとオレだけと話してくれたらいいと思っていた。
でもそれは、オレの自分勝手な欲望で。ハクちゃんの意思とは全く関係ない。
頑張ろうとしているハクちゃんの邪魔になってはいけない。ハクちゃんのためには、応援してあげることが一番なんだ。
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