468人が本棚に入れています
本棚に追加
スメラギに話を聞くのが一番手っ取り早いけれど、何故かスメラギは課外授業の担当教師リストの中には入っていなかった。
それだけではなく、夏休みに入ってから一度も学校で姿を見ていない。だからハクちゃんのことを聞くことも出来ない。
一緒に暮らしているはずの校長である玖珂槙志や、玖珂唯弥の姿も普段から会わないこともあって、いるかいないのかも分からない。
ハクちゃんに会えない日々が続いて日に日に不安と苛立ちが大きくなっていく。何も出来ない自分が歯がゆい。
そんな悶々としながらその日もアブラゼミがやかましく鳴く、蒸し暑い夏の午後を乗り切ろうとしていた。
これから日本はお盆に入る時期になる。オレも親戚回りに行くときのためにお中元を買いに市内にある大型デパートに母親と来ていた。
お中元コーナーと書かれているところで物を選んでいると、母親と同じようなおばさんに出くわしたらしく、そこからはおばさん2人で立ち話を始める。
こうなると中々終わらないことを知っているから、俺は適当にデパートの中を歩き回っていた。何を買うわけでもなく、何をするわけでもなく、ただ暇つぶしのために歩く。
頭の中ではずっとハクちゃんのことばかりで、今どこにいるんだろうとか、今何をしているんだろうとか、ずっと同じことをぐるぐると考えていた。
でもやっぱり夏休みなだけあって人が多く、混雑しているデパート内は歩いているだけで酔ってしまう。
普段なら気にもしないのに、ハクちゃんのことを心配しすぎているせいか、最近は体調もあまりよくなかった。
少し気持ち悪くなったオレは、トイレに行こうとしたけどトイレも長蛇の列が出来ていたから諦めて、オレは外の風に当たろうと思って外に出た。
.
最初のコメントを投稿しよう!