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玖珂白桜side
――――――どうして。
どうして、こんなことになってしまったの。
どうして、どうして、どうして。
「おはよっ、白桜ちゃん」
「唯弥、くん…」
あの日、眠ってからどのくらいの時間が経ったのか、分からない。いつも気が付いたら眠ってしまっていた。
きっともう、学校は夏休みに入っている。今が何月何日なのか分からない私の憶測でしかないけれど。
「ご飯、出来てるよ??今日もここで食べようねっ」
「…あの、今日はリビングで…」
「ごめんね白桜ちゃん。それは出来ないんだ」
「どうして…?」
ベッドから身体を起こしてすぐ傍に立っていた唯弥くんを見上げてもう何度目かの会話をする。
ベッドから出ようとしてもそれを遮られ、この部屋から出してもらえない。唯弥くんか聖瑛さんが作ってくれたご飯を食べ終わたら、すぐに眠気が襲ってくる。
逆らえずに眠りに落ちて、次に目が覚めたときはいつも唯弥くんか聖瑛さんのどちらかが部屋にいるけど、寝る前に見たときと服装が違った。
部屋に時計もないから窓の外の光で時間を判断するしかないけれど、確かなものじゃない。日にちも時間も教えてもらえずに、どうして2人がこんなことをするのかも分からないまま。
食事に睡眠薬か何かが入っているのはすぐに分かった。分かっているけど、せっかく唯弥くんと聖瑛さんが作ってくれたご飯に手を付けないことは、どうしても出来ない。
起きたときに1人じゃないことが分かると、すごく安心すらしている。一緒にベッドの中に入ってくれるときは、すり寄ってしまう。
この人たちがいなければ私は天涯孤独だった。だから、絶対に恩を仇で返すようなことだけはしたくない。
だけど、この部屋に槙志さんと彩人さんが入ってきたことは、一度もなかった。
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