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五十嵐響也side
……まずい。本当に、まずい。
お風呂から上がってきたハクちゃんの姿を見たとき、オレはハクちゃんを家に上げたことを後悔しそうになった。
いつも綺麗に輝いている白金の髪の毛は水を含んで艶が増し、白い肌にピンクの頬がチークのようで。初めて見る、ハクちゃんのジャージ姿。
母親が同じものを着ていたとは思いたくても思えないほど、何かがオレの理性を揺さぶってきた。
目を合わせてしまったらその理性が根こそぎ持っていかれそうで、オレは必死に自分を落ち着かせようとしていた……のに。
今、ハクちゃんは何をどう勘違いしたのか、オレがハクちゃんのことを嫌いになったかなんて聞いてくる。しかも、袖を掴みながら…………潤んだ瞳で上目使い。
――――――理性の壊れる音が、した。
「っ……」
「ひ、びや…さん…??」
オレの服の袖を掴んでいたハクちゃんの腕ともう片方の腕を掴んで、洗面所の壁にハクちゃんを押し付けた。
ハクちゃんは突然のことに瞳を揺らしながら、今にも溢れ落ちそうな涙を耐えている。少し震えている身体が小動物のようで、オレは小動物を狙う獣になった。
「…っ…んんっ!?」
ハクちゃんとの二度目のキスは、癖になりそうなほど気持ちよかった。
赤い果実のような唇。柔らかくて甘くて小さくて、可愛い。すがりつくように、執拗にハクちゃんの厚い唇を奪った。
「んっ、…ふぁ…」
「ハクちゃん…」
舌をねじ込めばハクちゃんの小さな舌が逃げようとする。逃がさない、とオレの舌はハクちゃんの舌を追いかけ、捕まえ、吸い付く。
あぁ……本当に、まずい。止められなくなりそうだ。止まらなくなりそうだ。
何でこの子の唇、こんなにオレを夢中にさせるの。麻薬のようだ。
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